
二風谷ダムの構造とはたらき
二風谷ダムは、ダム堤体の幅550m、高さ約30m、
湛水面積約400haの規模をもつ、「多目的ダム」です。
苫小牧東部工業地域への工業用水の供給を目的として、
1971年に計画されました。
その後1978年に治水、発電を加え、平成7年に完成しました。※
工業用水計画は、1976年のオイルショックによって苫東開発が破綻。
その後、ダム完成直前に用水計画が見直され、完全消滅しています。
※ 近年、ダムを建設した北海道開発局は、ダムの有効容積等の
8割が治水容量であることを根拠として、
「二風谷ダムの主目的は当初から治水であった」と主張しています。
堤体中央部から右岸より(画面左がわ)には
河床(標高29m)に接する形で、
洪水調整用のオリフィスゲートが7門並びます。※
左岸には大きなクレスト越流部をもち、
洪水調整の際には、最初から越流させるという、
治水目的としては、特殊な構造のダムです。
「ため池ダム」、すなわち取水堰の下部の土砂吐きゲートを、
洪水調節用として流用した構造といえます。
※ 二風谷ダムは、主ゲート6門で計画された洪水の放流を行える
設計ですが、洪水調整時にゲートが破損する可能性が考慮され、
予備として1門が追加されています。
二風谷ダムは、流入量が毎秒1900トンから
4100トンの間では洪水調節を行います。
二風谷ダムの洪水調節能力は、「100年に1度の大雨による洪水」の
二風谷ダム地点で毎秒4100トンの計画洪水に対し、
最大放流量は3850トンと、6.1%の効果。
また洪水全体の5400m3/sに対して4.6%。
治水計画で制御すべき流量1500m3/sに対しては、
16.7%しかありません。
設計上の治水能力はごくわずかです。
二風谷ダムの治水効果(250m3/s)が河川計画上占める割合(100年確率)
| 比較対象 |
比較対象流量(m3/s) |
二風谷ダムの割合(%) |
| 計画洪水全体(100年) |
5400 |
4.6 |
| 二風谷ダム地点 |
4100 |
6.1 |
| ダムによって制御すべき流量 |
1500 |
16.7 |
二風谷ダム・計画上の洪水調節グラフ(洪水調節図)
ダムの貯水限界(サーチャージ水位:48m)を超えた洪水では、
ゲートを大きく開いて流入量をそのまま放流し、
ダム自体の安全を確保します(ただし書き操作)。
この場合、ダム自体の安全を確保できる最大の流入量は、
6200m3/sとして設計されています(設計洪水流量)。
それを上回る洪水の場合には、ダムの上を洪水が乗り越えていく
危険な事態となるおそれが出てきます。
二風谷ダムに関する諸データ
平成7年度完成
集水面積 約1250km2
堤頂長 550m
堤高 31.5m
総貯水量 3,150万m3
川床高 29m
最低水位 40m
常時満水位 45m
夏期制限水位 42.5m
洪水時満水位(サーチャージ水位) 48m
設計洪水位 49.4m
ダム天端 51m
計画洪水流量 4100m3/s
計画最大放水量 3850m3/s
設計洪水流量 6200m3/s
二風谷ダムの操作について(図解)