
4.発表数値の矛盾と、それが意味するもの
(1)ダム放流量と下流流量の矛盾
現行の治水整備計画

現在進められている沙流川の治水計画は、「40年に一度の大雨」による
洪水に備えるもので、平取地点で最大4300m3/sの洪水を、二風谷ダム、
計画中の平取ダムの2ダムによって、最大3200m3/sまで抑え、
かつ、堤防整備等によって、下流をその流量に対応させるというもの。
2003年8月洪水のダムの流入・放流量(北海道開発局発表)
下流の安全な流量を3200m3/sとした平成14年度の治水整備計画に対し、
二風谷ダムは3850m3/sの放流量からゲート開度を大きくする
「ただし書き操作」を始め、最大で5500m3/sの放流を行ったとされる。
最大流入量は約6400m3/sとされている。
平取地点の実測流量
しかし、実際に観測された平取地点の水位・流量の変化は、
ダム放流量から予測される数値とは、大きな違いがあった。
ダムからの放流量のうち、最大1700m3/sほどが、
どこかへ「消えている」ことになる。
ダム放流量の30%という、非常に大きな「誤差」が生じている。
※平取の流量グラフは、ダム放流量と比較するために、
到達時間に相当する30分ぶん早めてある。
(ダムの最大放流時刻が2時50分であることに対し、
平取地点の最高水位は、3時20分前後に記録されている。)
平取の実測水位変化
8月9〜10日の二風谷ダム下流6km、平取観測所における水位変化。
ダムの最大放流から約30分後の、3時20分前後に、
28.3mの最高水位が記録されている。
堤防の安全限界である「計画高水位」を大きく上回ったが、
上端からの越流は生じず、かろうじて堤防決壊を免れた。
※平取観測所の水位計は2系統あるが、
時間帯により、交互に不調を起こしてる。
本サイトでは、2系統の水位計のデータを参照し水位データを作成した。
(主水位計に、最高水位前後が正しく記録されている)
北海道開発局の作成した報告書では、不調だった副水位計の記録を
最高水位によって補正し、同様のグラフを描いている。
なお、洪水当日、二風谷ダム管理所では、
不調の副水位計のデータのみが受信されており、
平取の水位状況を正しく把握できる状態ではなかった。
(午前0時前後には総合管理システムが故障し、
やはり水位ほか各データが欠落している。)
ダム放流量による予測水位との食い違い
二風谷ダムが毎秒5500トンを放流した場合、
平取観測所での水位は、標高30mを超えると予測される(赤線)。
(※平成13年水位流量変換式による)
ところが、堤防の高さは、標高29mほどどしかない。
ダムの放流量5500m3/sが、計算どおりに
下流に到達した場合、堤防の越流、決壊が生じ、
相当な規模の被害が発生したはずでである。
しかし、実際の最高水位は28.3mであり、平取では難を逃れた(青線)。
この水位は、約3800m3/sの流量に相当する。
ダムからの放流量のうち、ピンクに塗った部分の洪水
(最大1700m3/s相当:ダム放流量の30%)が、
どこかへ「消えている」ことになる。
*
|
時刻 |
平取水位 |
平取流量(H13QH式) |
ダム放流量(発表値)
30分前の値 |
|
0:00 |
26.29 |
2360 |
2224 |
|
0:30 |
26.56 |
2352 |
2441 |
|
1:00 |
26.91 |
2763 |
2867 |
|
1:30 |
27.31 |
3041 |
3325 |
|
2:00 |
27.76 |
3368 |
3852 |
|
2:30 |
28.06 |
3596 |
4830 |
|
3:00 |
28.21 |
3712 |
5279 |
|
3:30 |
28.23 |
3728 |
5489 |
|
4:00 |
28.20 |
3705 |
5430 |
|
4:30 |
27.88 |
3459 |
4946 |
|
5:00 |
27.59 |
3243 |
4326 |
大きな「誤差」の原因は何か?
ダムデータの求め方
ダムで発表される流入量・放流量は、実際の流量を
何らかの形で直接測定しているわけではない。
いくつかの条件を定めた上で、ダム湖の水位変化と
ゲート開度より、計算によって求めたもの。
ダム流入量 = ダムによる調整量 + ダム放流量
ダムによる調整量 = 一定時間の水位の変化からの理論値
ダム放流量 = ゲート開度、水位からの理論値
想定外の外的要因が加わった場合、
各数値には、簡単に大きな誤差を生じてしまう。
ダムで生じた異常事態
下流水位の問題?-1
下流の水位の問題?-2(準備中)