下流水位の問題-1


 

ダム下流・平取地点の水位と流量の関係

 河川の流量と水位の関係は、あらかじめ近似式
(水位流量曲線・Q-H式)として与えられている。(※)

平成13年Q-H式は、平成13年8月洪水の際の
データを用いてつくられたものである。


点線区間は、本来「適用範囲外」だが、
開発局の行った水位予測「ダムの効果」判定と同様に、
計算式をそのまま用いている。

 

(※)北海道開発局・二風谷ダム管理所が、沙流川各地の
水位予測「ダムの効果」の判定に用いている近似式。
各地点における水位と流量の関係を示す。

平取観測所における水位22.4〜27mの間では、
Q=41.4*(H-18.74)^2
の式で示される。
(平成13年Q-H変換式)


二風谷ダム管理所による8月10日午前1時の水位予測では、
この式を用いて、平取の
最大流量は4450m3/s、最高水位は29.1m
になるという予測計算をおこなっていた。

また、この式は、洪水後の「ダムによる水位低減効果」
根拠としても用いられている。


ダム放流量が正しいと仮定した場合



二風谷ダムの放流量が「発表値どおり」で、平取地点における実流量が、
6km上流の二風谷ダムの放流量と等しいものとして、
先のグラフ上にプロットした。

実際には平取地点の上流で支流アベツ川が流入しており、
河川計画上では、100年規模の洪水の際の、アベツ川からの
合流量は50m3/sとされている。

ダム直下と平取の水位比較

ダム下流水位計と、30分後の平取の水位計のデータを比較した。

ダム下流についてはQ−H変換式が示されていないが、
ダム直下の水位と、平取の水位は概ね対応していると見られる。

※ダム下流、平取には、それぞれ2系統の水位計が設置されている。
今回紹介するのは、どちらも「副水位計」の数値。
当日にテレメータによってダムでモニターしていた両地点の主水位計は、
どちらも異常値と思われるデータを発信していた。


開発局発表の「ダムの水位低減効果」

先のグラフに、北海道開発局による「ダムの効果」(1mの水位低下)
入れてみた。グラフがS字を描き、いかにも不自然である

開発局の発表した「ダムの水位低減効果は1m」という数値は、
実測水位にあわないQ-H式の変化率をそのまま用いた上で、
実測水位までスライドさせただけのものでしかないことがわかる。

ダムの最大放流量とされる5500m3/sを境界として、
水位が急激に上がるデータも、それを生じさせる河川側の要因もない以上、
このような水位変化の予測は、自然科学の上での数値の扱いとしては、
まるっきりデタラメ
である。

 


Q-H修正図から検証した「ダムの水位低減効果」

 

二風谷ダムの放流量が「発表どおり」だったとすると、
平取地点における「水位と流量の関係」は大きく変化する。
 
この場合、「ダムによる水位低減効果」は、
北海道開発局が発表した「1m」という数値の
1/5ほどの、20cm前後
となる。

「ダムの放流量が正しい」とした場合には、
「ダムの効果」を5倍も過大評価している。

 

また、ダムへの流入量はダム湖面の波打ちの影響による誤差を受けており、
実際には6150m3/s程度だったという研究報告がある。

この場合、ダムによる低減効果は、開発局発表の1/7ほど、15cm前後になる。

【追記】

2005年3月、北海道開発局は、「ダムの水位低減効果は1m」の
根拠としたHQ式を見直す内容の資料を公表した。
これはダムの最大放流量を5500m3/sとした場合、
6km下流の平取地点での最大流量は5200m3/sになると試算し、
その時の水位が28.3mになるとしたものである。

二風谷ダム自体の流量低減効果も、600m3/sへと大きく下方修正され、
この資料に基づく二風谷ダムの直接の水位低減効果は、約30cm程度となる。
 

 

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